団報54号寄稿


「毛呂山町 国史跡指定」講演会&現地ウォークに参加して

 ※寄稿:武田義樹さん(団員)


2024年2月と3月に開催された毛呂山町の史跡を学ぶイベントは、大いに印象に残る充実した内容であったので、ここに感想を述べてみたいと思います。

 

第1回目:2月12日(月・祝):講演会 関戸公民館

第2回目:3月2日(土):毛呂山町 現地ウォーク

講師・ガイド:歴史民俗博物館副館長 佐藤春生氏

サブガイド:歴史古街道団 団長 宮田太郎

 

第1回目の講演会と2回目の現地探索のシリーズでの内容が、適度なボリュームで、毛呂山町一帯が、宿場、墓域、遺構、街道の一体の史跡空間として認定されたことが、よく理解できました。エリアを包括し、認定されている遺構として、例えば富士山が、山体そのものだけでなく、広く周辺地域に存在する遺構や伝承文化の複合体として世界文化遺産に登録されたものなどを連想しました。 今後、多摩地区においても、鎌倉街道の遺構の整備をざす団の

方向性に応用すれば、現地の景観を出来る限り遺し、かつ活用する方策として「毛呂山方式」は、大いに参考になるものと感じました。

 

ウォークコースでは、訪れたどの遺構要素も素朴な景観・外観であるがゆえに、単に素人が資料を手にして訪問し、眺めただけでは真の価値を理解することが難しいものであり、遺構の着目点については、やはり専門的知見の解説があることにより真価を発揮できるもので、今回、講演会+ガイドウォークによる形式での知識習得の有用性を実感しました。

 

毛呂山一帯は、地形的には全般的に平地で、多摩地域でのアップダウンの大きいのに比べ、新鮮な感覚を得つつ同時に、遺構、古道を探索するには高低差を意識することはどの地域でも重要な要素であることが共通することを認識しました。

 

また、解説いただいた現地の都市開発事業との関連のトピックなども大いに有用で、近隣の養護施設やソーラーパネル発電施設、建設工事等の当初の計画からの変更の経緯を聞くと、佐藤さんらの遺構保存への熱意が地域へ浸透し呂山では、より地域が一体となり歴史的価値のある遺構の保存の共通認識が醸成されていることが感じられました。

 

私が今回、最も興味を深くしたのは、ウォーク後半に訪れた掘割道遺構がとても良い状態で保存されていることでしたこれには目を奪われ、野津田上ノ原や高麗山山麓の古代東海道などの大規模遺構と比較すると共通項もある一方で地域特性なども理解でき、古道探索の醍醐味が感じられ道への探究心を一層そそられました。

参加者全員で、ダイナミックな掘割道に並んで記念撮影を行ないましたが、ウォーク当日は質問等も活発に出され回のイベントでは、皆さんの得るものが多かったのではない

かと思います。

 

毛呂山での鎌倉街道・遺構全体を空間として体感してみると、やはり「点と点」が「線=道」で結ばれていることや一帯として深い歴史に誘われる感覚を得られる貴重な遺産で

あることが理解でき、またそれらにより地域同士が結ばれと人との交流から絆が生まれ、心から沸き立つ温かい感情をも呼び起こす良きイベントであったと感じました。